【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
……いいよな、お前は。
ちやほやされて、友達だっていて、熱中できるものもあって。
俺にないものばかりを持っている悠樹に、俺の気持ちがわかるわけない。
同情なんてされても惨めになるだけだ。
どこでこんなに差ができてしまったのだろう。
俺だって悠樹のように全部持っていたら、友達とバカ騒ぎしたし、部活にだって勤しんだ。
俺だって、俺だって……。
悠樹のことを悪く思いたくない。
つまらない嫉妬からはなにも生まれないと知っている。
それなのに、どろどろとした感情に心が支配されそうになる。
せめて性格くらいひねくれていてくれたらよかった。
そうすれば嫌いになれたのに。
いっそ嫌いになれれば楽だったのに。
俺の心は今、地面に落ちて踏み潰された柘榴のようだ。
砂利にまみれ、じゅくじゅくとした生々しい赤い実が剥き出しになっている。
「……ありがとな」
自分の汚い感情から目をそらすようにそれだけ言うと、悠樹に背を向け自室に戻った。