【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
「おはよ、榊くん」
「あ、ああ。おはよう」
けれどヘッドホンが外されたことにより、外野の余計な雑音まで耳に入ってくる。
「やば。紗友ちゃん、チャレンジャーすぎない?」
「小坂さんに話しかけられるとか、なにしたんだよ、あいつ」
華があり整った容姿の小坂は、あっという間にクラスで一目置かれる存在となっていた。
女子からは憧憬の眼差しを向けられ、男子からはちやほやされている。
そんなだれもに言動を注目されている彼女が、距離を置かれ空気も同然な俺に話しかけたとあれば、クラス中の注目を集めるというのは必然的なことだった。
小坂は本当に変な人だと思う。
こんな俺に構い、あまつさえ楽しそうに笑っているのだから。
物好きというか、なんというか。