【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
先に席を選び、荷物を置いて、ケーキを注文しにレジに並ぶ。
隣では小坂が膝を曲げて曇りなく磨きあげられたショーケースの前にかがみ、そこに並ぶ数多くのケーキひとつひとつを、真剣な眼差しで吟味している。
「迷うなぁ……」
眉間がうっすらくぼんでいる。
ケーキに向き合う時も小坂は真剣だ。
「うーん、どっちにしよう……」
「なにとなにで悩んでるんだ?」
「ショートケーキか、フルーツタルト。どっちもおいしそうで、うう、悩む~……」
「ふは、超真剣」
そんなに真剣に悩まなくても、と思わず笑いがこぼれる。
だって究極の選択を迫られているような表情でケーキとにらめっこしているのだ。
そして「うぅん……」と悩んだ果てに、小坂が選んだのはフルーツタルトだった。
そうとくれば、俺の選択肢はひとつだ。
「榊くんは決まった?」
「ああ。俺は、ショートケーキ」