【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
◆ みらいず
雪が白い妖精のようにちらほらと舞って視界に飛び込んでくる。
きっとこのまま積もって明日にはあたりを銀世界に一変させるのだろう。
学ランに身を包み、愛用の水色のマフラーに顔をうずめながら、学校に向かって歩く。
寒いのは得意じゃない。むしろ苦手だ。
できることなら、こたつに入ってぬくぬくしていたい。
……けど、なんでだっただろう。
冬が嫌いじゃないのは。
家を出てから15分くらい歩いた頃――ちょうど、家と学校の中間地点くらいにある、横断歩道が見えてきた。
信号は青だ。
目に映るその青色をなんの疑いもなく信じて、横断歩道に足を踏み込んだ、その時。
異変を感じたのは、横断歩道の手前で止まるはずのエンジンが、一切緩まずに近づいてきたから。
え、と思い反射的にそちらに顔を向ければ、猛スピードで迫りくる大型トラックが目に飛び込んできた。
――ドンッ。
その瞬間、経験したことのないほどの衝撃が体を襲い、体が重力に逆らうように飛ばされた。
視界がスローモーションのように回転する。
ちらほら降っていた雪が、縦横無尽に舞う。
そして、再び体を覆う衝撃。
投げ出された横断歩道の白線の上に、変な方向に曲がった腕と血が落ちている。
『おい、――轢かれたぞ! ――救急車――』
ところどころがぼやけただれかの声が、ぐわんぐわんとエコーがかったように聞こえてくる。
そこで俺は意識を失った――。