【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
「……はぁっ……」
ガバッと勢いよく布団を撥ね退け、俺は起き上がった。
凄惨な事故現場は目の前から消え、見慣れた自室の景色が広がる。
窓から明るい日差しが差し込み、朝の到来を知らせている。
うなされていたからかTシャツはぐっしょりと汗で濡れて、ランニングを終えた後のように息が荒い。
「夢か……」
くしゃりと前髪を握りしめ、ひとりごちる。
朝から最悪な夢を見た。
この悪夢を見たのは、何度目だろうか。
鮮明に映し出されたあの映像は、想像で作り上げた夢なんかじゃない。
俺の記憶だ。
中3の冬に遭った事故のせいで、俺は大切なものを失い、一瞬で価値なしの人間になった。
気づかぬうちに必死に握りしめていた両の手のひらを、そっと開く。
もしもこの世界に神様がいるのなら聞いてみたい。
なぁ、なんであの時俺を生かしたんだ……?