【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
並んで歩きだすと、間もなく小坂が立ち止まる。
そしてなぜか手を差し出してきた。
「どうした?」
なにを要求されているのかわからず首を傾げると、焦れったそうな動きで手を掴まれた。
そして指を絡められる。
「一応、デートだから、これ」
「でも、見られるぞ」
「見せつけちゃおうよ」
いたずらを共謀でもするみたいに、顔を近づけて茶目っ気たっぷりに笑いかけてくる小坂。
見るたびに大きいなと新鮮に驚かずにはいられない黒目が、俺を覗き込んでくる。
はたして買い出しは、デートというやつに該当するのだろうか。
そしてそのデートというやつは、こうして手を繋ぎ合うものなのだろうか。
そういえば、校門の前を通り過ぎていく男女はみな手を繋いでいた気がする。
まさか自分がする側になるなんてこれっぽっちも考えずに、なんとなく眺めていただけだけど。