【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
それから俺たちは、近くのスーパーマーケットに入った。
店内には明るい音楽がかかり、買い物かごを提げた主婦で溢れている。
スーパーなんて久しく訪れていなかったから、見るものすべてが新鮮できょろきょろしてしまう。
主婦よろしくカートを押しながら、小坂が今日のメニューを発表する。
「今日は榊くんの大好物のカレーを作ろうと思うんだけど、どうかな」
「お、まじか」
「ふふ、その反応は喜んでますなぁ」
小躍りをしていた心の内を見事に読み取られ、俺は思わず赤面する。
「じゃあ、榊くん! じゃがいもをひとつとってください」
「了解」
「玉ねぎ……はあっちだったかな」
「玉ねぎ」
「人参もお願いします」
「はい」
ふたりで会話を交わしながら、スーパーのかごの中に食材を入れていく。
主に小坂が指示を出し、指示のとおりに俺が食材を選ぶ。
連携プレーがいつの間にかできあがっている。
「それからチキンカレーにするから鶏肉。ああ、あとルー」
「肉はこれ?」
「残念。それは豚肉。正解はこっちでした」
お菓子コーナーを通りかかると、「こういうのも大事ですから」と小坂が真面目な顔してポテトチップスの袋をカゴに入れてきた。
たしかに大事だ。