【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
スーパーからそう遠くは離れてはいない自宅に到着したのは、すっかり日が暮れた頃だった。
「あがって」
「お邪魔します」
毎日帰ってくる家のはずなのに、小坂といるというだけでなんだか違う場所に来たみたいだ。
変な緊張が込み上げて、なんとなく落ち着かない。
「台所はこっちだ」
小坂を台所に案内しつつ、台所の床にスーパーのビニール袋を置く。
すると小坂はやる気満々というように腕をまくり始める。
「じゃあさっそく夕食作りにとりかかりますか! 榊くんは座っててね」
「俺も、」
「え?」
「俺も夕飯、作る」
「でも今日は私がおもてなしするって……」
「そういう気遣いは大丈夫だから」
なんてたってこっちは、スーパーで買い物をしている時から料理をするつもりだったのだ。
……料理なんてしたことないけれど。
頑なにそう言い切ると、小坂が眉を下げて苦笑する。
折れたのは小坂の方だった。
「じゃ、ふたりで作ろっか」