【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ

やがてぐつぐつと鍋の中でスープが音を立て始めると、小坂がおたまで一口掬う。

そして小皿によそうと、「ん」と俺の口元へ差し出してきた。

それが飲んでみてというサインであることは言葉にされずともわかった。

おずおずとそれを飲んでみると、香ばしく優しい味が口の中に広がる。


「……うま」

「ほんと?」

「ああ、うまい」

「初めての共同作業、成功?」

「成功だと思う」


すると小坂が嬉しそうに顔を綻ばせ、右手をあげた。


「ハイタッチ」


つられるようにして躊躇いがちに手をあげると、手のひらを合わせてくる。

パンと乾いた音が部屋の中に響いて、弾けるように咲いた小坂の笑顔をとても眩しく思った。


気持ちが重なっている。

そんな実感に満たされ、なぜか胸がいっぱいだった。





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