【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
やがてカレーが完成すると、ふたり分をよそってテーブルを囲む。
たったふたりきりで、食卓を飾るのはなんの変哲もないカレーなのに、ささやかなパーティーのように思えた。
いつも窮屈で息苦しい食卓が、こんな華麗な変身をするなんて。
「じゃ、いただきます」
「いただきます」
声を揃え、手を合わせる。
そしてほかほかと湯気のたつカレーを口に運べば、その美味しさに頬が緩む。
味見の時もそうだったけれど、やはり。
「うまい」
「本当?」
「なんか……あったかい味がする」
ぽつりとこぼれた俺の感想に、小坂が柔らかく笑む。
「よかった」
大好物なだけあって今までいろいろな場所でカレーを食べてきたけれど、このカレーは格別だった。
俺の中の一位に鎮座していたカレーが上書き更新される。