【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ

「私、小学生の頃両親が離婚したんだ」


小坂の口からこぼれたのは、思いがけない告白。


いつだって笑っている小坂が抱えていた仄暗い事情にはっと小さく息を吸い込めば、小坂が両手を顔の前で振りながら眉を下げて苦笑する。


「あ、今は全然割り切れてるし、そんな重い話じゃないんだけど」


自分の話をする時でさえ、気を遣わせないための前置きをする、小坂はそういう子だ。


「でもやっぱりその時はショックで、だれも信じられなくなったの。幸せなんて限りあるものなんだ、永遠なんてないんだ、って。だけどそんな時、家族になろうって言ってくれた人がいてね。それがすごく嬉しくて。その人のことを一生大事にしようって決めたの」


大切な思いをひとつひとつ紐解いていくように、小坂が言葉を重ねていく。

俺はそれをひとつも取りこぼすことのないようにすべての意識を集中させて耳を傾けていた。


「私、早く大人になりたかったんだ。大切な人を守れる大人に」
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