【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
それから目的地を決めないまま商店街を練り歩いた。
そして、食べたいものがあったら、都度そのお店に立ち寄り、食べ物を買う。
「あれがおいしそう」とか「あれもいいなぁ」と屋台を次々に指しては、小坂は楽しそうに目を輝かせた。
どんなことでも全力で楽しみ、全力で感情を表す小坂。
俺もそんな小坂のいいところを見習わなきゃなと、彼女と時間を共にするたびに思わされる。
それにしても、やはり小坂はよく食べる。
団子やアイスクリームなどを食べた結果、小坂が一番気に入ったのは芋とあんこの入った饅頭だった。
「これ、おいしい……! 優勝かも!」
ぱっと開かれた瞳が、雄弁に彼女の感動を語る。
そんな小坂を見ているだけで、幸せという感情で満ち足りてしまうなんて、俺もだいぶ絆されてしまっているらしい。