【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ

するとふと、小坂の口の横にはみ出してしまったあんこがついていることに気がついた。


「あんこ、ついてる」

「へ? どこ?」

「口の横」


舌をちろりと出し、あんこがついている場所を示す。

小坂も見よう見まねで舌を出すが、あんこがついている場所には及ばない。


「じっとしてて」


口の横のあんこを親指で拭ってやると、小坂が頬を紅潮させて恥ずかしそうに俯く。

それから申し訳なさそうに、「ごめん。楽しくてはしゃぎすぎちゃった」と謝罪の言葉を口にする。


ごめん、なんて。

決して謝ることではないのに。


俺は小坂の罪悪感をかき消すように笑って見せた。


「楽しいな」


すると小坂の表情が、ぱっと笑顔で華やぐ。


「うんっ」


楽しいと思ってもらえることが俺にとってどれほど嬉しいことか、君は知らないだろう?


やっぱり小坂には笑顔が一番似合う。

小坂の笑顔を守れるなら、どんなことでもしたいと思ってしまうほどに。
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