【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ

「あとちょっとだったんだけどなぁ。次こそは……」


そうして再び照準を合わせる小坂。

銃を構える姿がやけに様になっている。


ほとんど間を置かず、小坂が再び発砲した。

木のコルクは鋭い弾道を描いて、2等と書かれた紙の的に命中する。


「あっ」

「うそ、当たった……!」


小坂が射的銃を下ろして、こちらを振り返る。

その顔には信じられない驚きと、湧き上がる寸前の歓喜が入り交ざっていて。


「榊くん、やった……!」


爆発する歓喜と共に、小坂が俺に抱きついてきた。

ぴょんぴょんと小坂が飛び跳ねるたびに俺の体も揺れる。

小坂から漂ってくるふんわりとした甘い香りが鼻孔をくすぐる。
< 96 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop