【完】永遠より長い一瞬を輝く君へ
「こ、小坂……」
抱きつかれるまま、どうしたらいいかわからず両腕を背中のあたりで彷徨わせていると。
「お嬢さん、お見事。はい、景品」
店主のおじさんが景品のペンダントを小坂に差し出してきた。
「ありがとうございます!」
ペンダントを受け取った小坂は、即座に俺に向き合い、こちらを見上げてくる。
「榊くん、かがんでくれる?」
「え? ああ」
言われたとおり、小坂の目線に合わせるように膝を曲げてかがむ。
するとまるで首に抱きつくように体を寄せてきたかと思うと、体が離れて、目の前で小坂が破顔した。
「うん。やっぱり似合う」
自分の胸元に視線を落とせば、そこにはきらりと輝くペンダントがあった。
それは世界中のどんな贈り物にも敵わないほど尊く思える。
ペンダントを握りしめ、「ありがとう、小坂。一生大切にする」と固く心に誓った言葉を口にすれば。
「へへ、大げさだなぁ」
黒目がちの大きな瞳を潤ませ、小坂がいっそう目を細めた。
小坂の笑顔がじんわりと胸の奥を熱くする。
嬉しいという感情が膨らんで窒息してしまいそうだ。
小坂との思い出が心の中に積もっていく。
その奇跡のような幸せを噛みしめたのだった。