保健室以外でも、キミに会いたい。
はじまりはキミがくれた飴
狩野乙葉(15)、高校1年生。
私は昼休みになると必ず向かう場所がある。
「昨日の歌番組観たー?」
「観たー!新曲良すぎじゃない?」
周りが談笑しながら昼食を取る中、一足先にお弁当を食べ終えた私は椅子を持って自分の席へと戻る。
「乙葉ー!」
そこへ声をかけてきたのは、さっきまで一緒にお弁当を食べていた里菜ちゃん。
中学の頃からの親友だ。
大人びた容姿をしている里菜ちゃんは見た目だけじゃなく中身も大人で、同い年だというのにまるで、お姉さんのような存在。
「もう行く?」
私はその問いかけに笑顔で頷いた。
すると「じゃあ、途中まで一緒に行こう。お姉ちゃんが体操服忘れたらしくて、届けに行くの」という返事が返ってくる。
もちろん断る理由などなく、私達は一緒に教室を出た。
それぞの目的地へと向かうために1年の教室がある2階から1階へと階段を下りる。
その間、里菜ちゃんは昨日観たテレビの内容を楽しそうに話し、時々私の反応を伺った。
「ここで一旦お別れだね。続きはまた教室に戻ってから話すよ」
里菜ちゃんの言葉に『また後でね』という意味を込めて手を振る。
そして、一人になった私は足早に目的地へと向かった。