保健室以外でも、キミに会いたい。


私は終礼が終わると部活に向かう里菜ちゃんに手を振り、保健室へと走った。


下駄箱に並ぶ靴は一足。

多分、織田くんのもの。

ドアを開けると畑中先生は驚いたような顔で私を見た。


普段は昼休みにしか訪れない私を不思議に思ったのだろう。


《織田くんが休んでるって聞いて》


私がそうメモに書くと、畑中先生は小さな声で話し始めた。

「今、奥のベッドで寝てるわ」

《大丈夫なんですか?》

「薬も飲んだから大丈夫よ。もう少し寝かせてあげたいんだけど、先生今から職員会議があるの。織田くんを一人で残していくのは心配だから、狩野さんが……」

畑中先生がそう話す途中、私はペンを走らせた。


《先生が戻ってくるまで、私が代わりにここにいます》


「あら、そう?ありがとう。じゃあ、織田くんのこと任せたわね」


畑中先生はそう言うと、職員室へと向かった。


私はソファーに腰を下ろして、織田くんが目を覚ますのを待つ。



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