保健室以外でも、キミに会いたい。
私も自分の想いをちゃんと言葉にしないと。
そう思ったけれど、伝えたいことが多すぎて何から書けば良いのかわからない。
そんな私を見た織田くんは「返事は今じゃなくてもええから」と口にする。
(待って、私……!)
「とりあえず一回考えてみて。俺、教室に鞄置きっぱなしやから取りに戻るわ」
織田くんはそう言うといつものように「はな、またな狩野ちゃん」と言って保健室から出て行った。
“返事は今じゃなくていい”
それなら、家に帰ってから一旦頭の中を整理すればいい。
その方が上手く自分の想いを文字に起こせるだろう。
だけど、ふと脳裏に浮かんだのはあの日の後悔。
父に自分の気持ちを伝えられなかったこと。
父と織田くんは違う。
そんなのわかってる。
状況だって全く違う。
織田くんは突然いなくなったりしない。
(……本当に?)
一年前の私は両親が離婚するなんて思わなかった。
数ヶ月前の私は声が出なくなるなんて思わなかった。
明日、何も起こらないなんて言える?
もう二度と後悔なんてしたくない。
私も織田くんのことが好きだって、“今”伝えたい。