エリート外交官は別れを選んだ私を、赤ちゃんごと溺愛で包む

「あ、綾城さん?」
「いや、悪い」

 彼は笑いながらぎゅっと手を繋ぎ直してくる。今までは握られていただけだったのに、今度は指を絡める恋人繋ぎ。

 心臓が高鳴ってうまく息ができない。

 そんな私に、綾城さんは優しく言う。

「良ければまた、付き合ってくれないか?」
「え?」

 ぱちりと目を瞬く私に、彼は言う。

「筒井さんと過ごすの、ものすごく楽しかったから、またデートしてほしい」
「でっ、デート!?」

 思わず何度も瞬きを繰り返す。綾城さんは飄々と笑った。

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