エリート外交官は別れを選んだ私を、赤ちゃんごと溺愛で包む
か細い私の声に、ララがバカにするように鼻で笑う。
「調べたの! 勇梧さんがなかなかあたしと付き合ってくれないから、どうしてかなあって。そしたらあんたたちの存在があるじゃない!」
ララがサングラス越しに私を見下ろす。
「でも綾城さんクラスの男性が、あんたなんか本気で愛すわけないわ。実際入籍してないのがその証拠! 報告書を読んでて、かなり子煩悩なようだったから――それならララがその子のママになってあげたら、みんな幸せだって気がついたの!」
「そうよ、夏乃子」
母がヒールを鳴らし、こちらに近づいてくる。
「また誰かの人生の邪魔をするの? 幸福を潰すの?」
「なっ……!」
「あなたが我儘を言わなければ、綾城さんもララも、その子も、みーんな幸せになれるのよ?」
母が首を横に傾げる。
「あなたのせいで、みんな不幸になってる」
不幸?
私の、せいで――?