原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
『ホナミ』とこの世界の文字で書いて、紙を2つ折にしてアビゲイルに渡した。
自分が作者だと知られるのが躊躇われて、名字を書くのは様子を見て……
などと思ったのに……
何故か頭の中にその自分の名字が浮かんでこなくて、少し混乱した。
同時にアビゲイルが差し出した紙には『チカ』と、やはりこちらの文字で書かれていて。
2人は顔を見合わせたが、口に出すのが怖かった。
お互いが思う相手と同名の別人の可能性もあった。
確認したくて気は逸るが、相手の身元を聞くなら先に自分が身元を明かさなくてはいけない。
……2人の間に流れる重い沈黙を破ったのは、年上のアビゲイルだった。
「私は……マンガを描いていたの」
「チカ先生ですか! 私は原作の……」
「ホナミちゃん?」
そして2人は抱きしめ合って泣いた。
……あの頃の記憶を、これからの不安を。
分かち合える人と、やっと再会出来た2人は泣いた。
自分が作者だと知られるのが躊躇われて、名字を書くのは様子を見て……
などと思ったのに……
何故か頭の中にその自分の名字が浮かんでこなくて、少し混乱した。
同時にアビゲイルが差し出した紙には『チカ』と、やはりこちらの文字で書かれていて。
2人は顔を見合わせたが、口に出すのが怖かった。
お互いが思う相手と同名の別人の可能性もあった。
確認したくて気は逸るが、相手の身元を聞くなら先に自分が身元を明かさなくてはいけない。
……2人の間に流れる重い沈黙を破ったのは、年上のアビゲイルだった。
「私は……マンガを描いていたの」
「チカ先生ですか! 私は原作の……」
「ホナミちゃん?」
そして2人は抱きしめ合って泣いた。
……あの頃の記憶を、これからの不安を。
分かち合える人と、やっと再会出来た2人は泣いた。