原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
「最初は絶対に好きにはならないと決めていたの。
 だけど、今はアーノルド殿下を愛してる。
 彼に秘密があるのなら、それを解決したい。
 闇落ちするのなら、彼を放っては置けない。
 何より私は、アーノルドをミシェルに取られたくないの!」


 あぁ、ここにもまた。
 私と同じ様に愛するひとをヒロインに渡さないと決めたひとがいる。


 抑えていた感情を露にして、いつもの沈着冷静な仮面を外した公爵令嬢の手が震えていて、ロザリンドはそっと彼女の手を握った。


「お役に立てなくて、ごめんなさい。
 実は、第2章のことをあれこれ考えていたはずなのに、それが全然思い出せないんです」

「……思い出せない?」

「ミカミさんから、第4話ぐらいから王太子の
キャラを掘り下げようと言われて、打ち合わせをしていた記憶はあるんです。
 それをチカ先生にお伝えする前にファンミが
あって」

「原作者の貴女の記憶が薄れてきている、と言うの……」

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