原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
「完璧です、ありがとうございました」

「あの、これは一体?」

 オスカーは彼女に尋ねたが、ただアビゲイルは
微笑むのみでそれに答えず、丁寧にカーテシーを
して先に音楽室から出て行った。


 その日からオスカーの中では、グレンフォール公爵令嬢アビゲイルは変な女認定されている。

 それはイケメンが好むテンプレ『おもしれー女』枠ではなく、本当の意味での変な女だ。


 ◇◇◇


 とりあえず、オスカー本人は仮面祭りの夜の詳細を思い出そうとしているのだが。
 何故か最近それが思い出せなくなってきていた。



 辺境へと送られた兄のダンカンが王都に向かったようだ、と実家からの知らせを受け取ったのが
昨日だったので、
『そうだ、これが始まりだった。ここからの流れはどうだったかな』と、昨日から何度となく思い返そうとしては、いつの間にか違うことを考えてしまっている。
 
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