原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 年齢の割りに落ち着いて、物事を処理して行き。
 優しく丁寧だけれど、心中をこちらに見せることはない。

 頭脳明晰、沈着冷静、泰然自若……
 彼は周囲からそんな言葉で形容されていた。
 まだ17歳だとは思えない自慢の義兄オスカー・オブライエン・コルテス。
 ……だったのに。


 そうではない姿を見せられて嫌になったのではない。
 むしろ、何だか年齢相応だ、と安心して微笑ましいのだ。

 自分と同じ様に彼もまた記憶がなくなり始めているから、この夜を無事に乗りきれるか不安になっているのだと思い、それを上手く隠せないオスカーが愛おしい。


 せめて、媚薬を飲ませられないようにダンカンには注意して、と言いたいけれど……
 媚薬だと判明するのは、第2章からだ。
 だから今のオスカーは前世の記憶があっても、それと知らない。

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