原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
第35話
今日は祝日で学苑はお休みだ。
城下では昼前から華やかに祭りが始まっていた。
今夜の事が頭から離れない。
それなのにどう行動すればいいのか、何事も決断できない自分が歯痒い。
オスカーはこんな男ではないのに。
既に名前も顔も浮かんでこないひと。
そのひとが夢見るように語った理想の男。
それだけは覚えている。
いつも、どんな時も。
『オスカーだったら、こうする』
『オスカーなら、こう言う』
オスカーだったら……オスカーなら……
それが12歳からの、この世界を生きていく為の指針になっていた。
完璧にオスカーになろうとして常に努力した。
いつも、どんな時も。
だが、今ではその指針が見えなくなっていた。
唯一の心の拠り所にしていた1枚だけのメモは、余りにも何度も取り出しては握りしめてしまって。
出来が良くないこの世界の紙はボロボロになりかけている。
城下では昼前から華やかに祭りが始まっていた。
今夜の事が頭から離れない。
それなのにどう行動すればいいのか、何事も決断できない自分が歯痒い。
オスカーはこんな男ではないのに。
既に名前も顔も浮かんでこないひと。
そのひとが夢見るように語った理想の男。
それだけは覚えている。
いつも、どんな時も。
『オスカーだったら、こうする』
『オスカーなら、こう言う』
オスカーだったら……オスカーなら……
それが12歳からの、この世界を生きていく為の指針になっていた。
完璧にオスカーになろうとして常に努力した。
いつも、どんな時も。
だが、今ではその指針が見えなくなっていた。
唯一の心の拠り所にしていた1枚だけのメモは、余りにも何度も取り出しては握りしめてしまって。
出来が良くないこの世界の紙はボロボロになりかけている。