原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 最近のミシェルの口の悪さに改めて驚いたが、そこは聞き流すことにした。


「学苑を辞める手続を昨日されたわ。
 退学すること、言えなかったの。
 今夜デブが私を迎えに来るから、皆が起きてくる前に家を出てきたのよ」


 それでこの大きな荷物を持っているのか。
 納得したウェズリーだった。


「何処か行くあてはあるの?」



 かつて愛した女性だ。
 行くあてがないなら、自立出来るまでウチで働いて貰ってもいいかな、と考えた。

 ロザリンドとの婚約破棄の原因となった男爵令嬢を、ラザフォード侯爵家が受け入れるはずがないこと等考えていないのだ。
 ……悪気はないけど、馬鹿だから。


「あぁ、それなら大丈夫。
 今夜私は王太子殿下と出会うから、そのままお城に連れて行って貰うわ」


(……以前聞いた時には指摘しなかったけれど。
 さすがにちゃんと言っといてあげた方がいいよな、俺達は少なくとも友達なんだから)


「あのさ、王太子殿下の恋人になる、って本気で信じてるの?
 アーノルド殿下と結婚出来る、って?」

「……何が言いたいの?」
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