原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 今夜は祭りの夜なので、通常のようにホテルに馬車を横付けすることは出来ないだろうから、どの辺りに停車出来るかの下見に来た。

 そして帰りがけに、ホテルのあるラグー通りを少し歩いた辺りでミシェルを見かけて、声をかけたのだ。


「もう王都に居ても、王太子殿下とはどうにもならないのよね……」

「……多分ね」

「愛妾にさえなれないなら、付き合ったって意味なくない?
 ……ったく、さぁ!
 でも、デブの5番目の嫁になんかなりたくないのよ。
 貴方、もう一度私と付き合わない?」


 ミシェルが流していたはずの涙はいつの間にか止まっていて、彼女は顔を上げ背筋を伸ばして、
キラキラした瞳で真正面からウェズリーを見つめた。



「ごめん……それはもういいかな」

 今さらミシェルと交際再開は考えられない。


「あぁそ、わかった。
 じゃあ、お金貸してくれない?
 王都を出て、何処かへ移るから、まとまった
お金を貸してよ。
 落ち着いたら返すから、ね?」

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