原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
第40話
『兄上』と、呼び掛けたのは何年ぶりだろうか。
幼い頃は『兄様』と、甘えた。
初等部に入ってからは『兄上』、思春期を迎えて家族に素直になれなくなって『ダンカン』と。
生意気に名前で呼んだ。
「それを聞きたいのは俺の方だよ。
お前には酷いことをした。
ずっと謝りたかったけど……今年やっと警備隊に選抜されたから会いに来れたんだ。
偶然に見かけて追いかけたけど、まさか貴族のお前が祭りに居るとは思わなかったし、久しぶりだからお前だと確認する為に、声をかけずにしばらく後をつけていた。
こうしてお前の義妹や友人とも会えて良かった。
……ふたりだけだったら何を話していいか、実は悩んでいたんだ」
「……」
「今でも落ちていくお前が……
信じられない、って俺を見ている顔が……
夢に出てくる。
無事で……残るような傷が無かったことが、今でも……
本当に申し訳なかった……許してくれ」
今までとは打って変わって、静かに途切れ途切れにダンカンは話した。
その手は細かく震えていた。
幼い頃は『兄様』と、甘えた。
初等部に入ってからは『兄上』、思春期を迎えて家族に素直になれなくなって『ダンカン』と。
生意気に名前で呼んだ。
「それを聞きたいのは俺の方だよ。
お前には酷いことをした。
ずっと謝りたかったけど……今年やっと警備隊に選抜されたから会いに来れたんだ。
偶然に見かけて追いかけたけど、まさか貴族のお前が祭りに居るとは思わなかったし、久しぶりだからお前だと確認する為に、声をかけずにしばらく後をつけていた。
こうしてお前の義妹や友人とも会えて良かった。
……ふたりだけだったら何を話していいか、実は悩んでいたんだ」
「……」
「今でも落ちていくお前が……
信じられない、って俺を見ている顔が……
夢に出てくる。
無事で……残るような傷が無かったことが、今でも……
本当に申し訳なかった……許してくれ」
今までとは打って変わって、静かに途切れ途切れにダンカンは話した。
その手は細かく震えていた。