原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 ロザリンドから奪った(クラスメートからはそう見えていた) リボンを、左手首に巻きつけながら。
 涼しい顔をしてオスカーは言うが、この場で彼にネクタイを結んで貰うなど、もうロザリンドは耐えられなかった。


「だ、大丈夫。
 ……教室に戻ってから、自分で結ぶから」


 あたふたと1年の教室に駆け戻るロザリンドを
オスカーは見送った。
 本当はこんな風に恥ずかしい思いをさせるつもりはなかったのに。


 オスカーは早く外堀を埋めたかった。
 ランドールとの一件からロザリンドの価値は下がり、縁組の申し込みを撤回する家門も続出しているが、そんなのは一時的なものだ、と彼は見ていた。

 しばらくすれば、当主ではなく夫人達から
『身持ちの固い、品行方正なご令嬢だ』と。
 再びロザリンドの人気は上がってくるはずだ。
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