原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 あの、忌々しいコルテスの小僧が王弟殿下なのだと。

 3ヶ月後の貴族議会で承認を得たら、アイツは王族になり。
 ランドールの馬鹿が居なくなったから、王位継承権第2位に躍り出るのだ、と。


 国王は期待半分、贖罪半分で小僧を王族に迎える気だが、正直なところ王妃は面白くなさそうだ、と女は嗤った。


「だからあの子には、あの時何のお咎めもなかったのよね」


 そうだ、あの小僧には何の咎めもなかった。
 デビュタントの夜、第2王子を殴ったのに、アイツには何の咎めもなく……
 その分、こちらにその罰が来た。


 ランドールの護衛は順番で、たまたまあの日が自分の当番だった、だけ。
 仕事だから、守らなくてはならないから。
 あの鬼畜殿下ランドールの傍に付いていた。

 無理矢理に私室に少女を連れ込もうとした、あんなヤツに付かされていた。



 護衛の当番ではなかった時、何度かその現場に行き合わせた事がある。
 嫌がる女を抱き上げて、何事かをアイツは囁く。
 すると女は黙って、ヤツに抱かれる為抵抗することもなく連れられていく。


 結局は無理強いではなかった、と。
 誰もが見ていない振りをした。
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