原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 いきなりの軟禁に、全く状況が分からずイライラしたオスカーの元に現れたのがグレンジャーだった。

 今日1日で、あちこちでコルテス兄妹の名前が
口にされていた。
 それは昼休みが始まる前には、別棟の魔法科校舎にまで届くほどだった。


 そして、放課後。
 義妹付きの侍女が校門でわめき散らして、オスカーは何処かに押し込められた、と聞いた。
 それで以前、オスカーから借りパクしたペンを利用して転移魔法で彼の元に現れたのだ。


 いきなり目の前に現れた友人にクールなオスカーが腰を抜かした。
 非常時だとわかっているが、頭上にペンを掲げながら、つい笑ってしまったグレンジャーだ。


「グレンジャー・オルコット、参上!」

「お、おま、お前何で!」

「これが転移魔法です!」


 軟禁された事情が全くわかっていないオスカーに。
 グレンジャーが手短に、事実と憶測を交えながら語った。


「ロージーが誘拐?」

< 245 / 255 >

この作品をシェア

pagetop