原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
( もう、自分が作者であった前世に囚われるのはやめよう)

 そう、ロザリンドは決意した。


 自分はこの秘密を誰にも言わず、ロザリンドとして生きるのだ。
 侯爵令嬢として相応しい人生を全うしよう。

 不本意な転生をしてしまったミシェルには申し訳ないけれど、私はあの男から逃げることが出来た。

 申し分ない家族と、目と心の保養の推しが居て。
 今の自分に何の文句があろうか。


 この世界に。
 私が理想を求めた世界に。
 転生させてくれてありがとうございます! と何処かにいらっしゃる転生の神様に感謝を捧げたい位だ。



 この世界に転生する前、つまり事故の起こった当時までに公開されていたのは第1章までだ。

 その最終話でヒロインが恋をしたのは王太子ではなくオスカーだ、と読者は知るのだが。
 転生したミシェルがその事を知らず、自分の恋の相手は王太子殿下だと思い込んでいるのは何故だろう、とロザリンドは不思議だった。
 その辺りの記憶が曖昧で、どうしても思い出せない。


 ……それでつい、彼女は欲張りになってしまった。
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