原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 貧乏くさいバスツアー旅行なんてしたこともなかったのに、
『たまには、庶民の温泉旅館もいいかもね』なんて、大学の友人とはしゃいで申し込んでしまったのだ。


 勧められて読み始めた異世界ファンタジーマンガだったが、そこまで嵌まっていたわけじゃない。
 友人のようにキャラに入れ込んでもいなかった。
 素人に毛が生えたレベルの、作家と漫画家の、あんなファンミなんかに参加したのが間違いだった。



『それ』は急にやって来た。
 貧しくとも、いつも清く正しく優しいミシェル。
 そんな自分に満足して、何の疑問も持たなかった。
 どれだけ令嬢達に謗られようとも、胸を張って生きてきた。



 高等部2学年目が終わろうとする頃。
 学舎の人通りの少ない廊下で、令嬢グループとすれ違った時、いきなり足を引っかけられて転倒した。
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