原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 たまたま恋人のウェズリーや男友達の皆が居ない時だった。
 彼女達は虎視眈々と、ミシェルがひとりでいる時を待っていたのだろう。
 誰が足を出したのかはわからなかったけれど、転倒したミシェルを囲んで見下ろして嗤っていた。


「嫌ね、誰かが側に居ないと、ひとりじゃ廊下もちゃんと歩けないのかしら?」

 だが、引っかけた方もそこまでのダメージを与えるつもりはなかったのかもしれない。
 いつもならそのまま笑い者にされるはずが、頭を抱えて立ち上がれなくなったミシェルの姿に、彼女達はあわてて立ち去った。


 頭を打った傷が痛かったのではなく、脳内に溢れた様々な記憶に動けなくなったミシェルは。


 ……自分が転生した事を、理解した。
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