原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 誰がなんと言っても、自分はこの世界の絶対的愛されヒロインなんだから。


 これからの展開が待ち遠しくて、ウェズリーや攻略対象者達に別れを告げた。
 ……そしてひとりになった。


 ヒロインである嬉しさに先走り過ぎたことが少しだけ悔やまれた。
 ウェズリーや彼等をキープしたままで、上手くやる方法があったかも知れない。
 王太子は既に学苑を卒業しているし、在籍している第2王子とは接触もしていないから、王家の影の監視も今なら自分についていないはず。


 王太子妃になる事が確定してからでも別れる機会はあっただろうに、もったいない事をしたな、とつくづく思う。



 ミシェルは運命が動き出す仮面祭りの夜に想いを馳せながら、今朝も最悪な気分で古ぼけたフライ男爵家の馬車に乗り込んだ。

 早く行っても、次々後から登校してくる高位貴族の馬車に順番を譲らなくてはならない。

 あんな奴等全員、国内最上級だった愛車で引き殺してやりたい、と思うミシェルだった。

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