原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
 そんな苦々しい思いが渦巻くまま、彼女のところへ急いだ。

 近付いてくるオスカーに気が付いて、ウェズリーは若干ロザリンドとの距離を開けた。
『シスコン兄貴がやってきたよ』と、思いながら。


「元婚約者殿はあまり、近付いて欲しくないな」

「オスカー、そんなこと言わないでよ。
 会場じゃ話しかけたくても、皆見てるし。
 何よりコルテス侯爵夫人が俺を殺したいのを
隠さないしさ」

「……義母上から暗殺者を送られてないだけでも感謝しろよ。 
 今さら何だ?」

「……暗殺者って、笑えない冗談……
 ランドール殿下がロージーに興味を持ち出しているから気を付けるように言っていたんだ」


 オスカーはそれを聞いて引き寄せたロザリンドの肩を強く抱き締めた。
 化粧室でランドールに遭遇する前にそれを教えて欲しかった。
 そうであったら、両親には伝言を頼んで、先に
ふたりで王城から帰れたのに。
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