原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
「ランドール王子殿下はご自分も側妃様も破滅
しないように、と放蕩王子になられたような気
が致します」

 グレンフォール公爵令嬢アビゲイル・フロイドは静かにそうロザリンドに話した。
 公爵家の、素晴らしいと有名な温室に設えられたお茶席に、ロザリンドは招かれていた。


 公爵令嬢の存在は原作者のホナミであったので知っていたが、ロザリンドとしては2人で会うのは勿論、他家で開かれたお茶の席でも一緒になったこともなかったので、緊張でどうにかなりそうだった。


 アビゲイルは王太子殿下の婚約者であり、オスカーやウェズリー、ランドール殿下と同級だったが。
 1年後のご成婚に向けて王太子妃教育が佳境に入ってきて、超多忙ゆえに登校することもなかったので、今日が初対面であると言えるだろう。


 彼女は感じのいい声の持ち主で、貴族の頂点に君臨する筆頭公爵家の令嬢なのに、高飛車な所は
一つもなかったが、その存在感にロザリンドは
圧倒されていた。
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