原作者の私ですが婚約者は譲っても推しのお義兄様は渡しません!
「いやいや、何言って……俺達は義理だけど兄妹だよ?
 そんな……ですよね、義父上?」

「……」

「おかしな話ですよ……ね、義母上?」

「……」

 驚きながらも脳内で可能性を考え始めた両親だったが、肝心のオスカーはぶんぶんと頭を振っている。
 未だに両腕を義母と義妹に拘束されて、椅子に座る彼が自由に動かせるのは頭だけ。


「お義兄様、そんなに私がお嫌ですか……」

「い、嫌とかじゃなくてっ!
 ロージー、そんなに焦らなくても、まだ15歳なんだし?
 噂なんて、直ぐに無くなるよ?
 そしたら、君には縁談がじゃんじゃん来るんじゃ……」


 なんだし? じゃんじゃん?
 焦っているのはオスカーの方で。
 この世界の男性なら絶対に使わない言葉が、彼の口をついて出てきた。


 もしかして。
 オスカー貴方も、なの?
 貴方もこの世界に転生した……
 元は『乙花』好きな日本人女性なの?



 推しのオスカーの前世が女性だったかもしれないことに、彼の転生者疑惑よりも衝撃を受けた
ロザリンドは。

 誰にもこの秘密は漏らさないと誓っていたのに、自分からアビゲイルに手紙を送った。


ー『乙花』の件で、お話があります ー と。
< 97 / 255 >

この作品をシェア

pagetop