これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー

これは一体どういうことですか?

弘樹とのやりとりを終えると、私はメッセージアプリの徹也くんとのやり取り画面を開き、改めてメッセージを送信した。

『改めまして、昨日はごちそうさまでした。週末会うときに、徹也くんに話しておきたいことがあるので、話を聞いてください』

絵文字もスタンプも使わないメッセージは、何とも味気ないというか素っ気ないけれど、その分、私の覚悟も伝わるだろう。
徹也くんは何のこっちゃと思うかもしれない。

メッセージを送信し、一仕事終えた気分になった私は深呼吸をした。
午後からの仕事もあるので、スマホを鞄の中に仕舞おうと思った瞬間、私の送信したメッセージに既読マークがついた。
そしてすぐ、『了解』のスタンプが押された。

用件が伝われば、それでいい。
私は自動で画面が落ちたことを確認すると、今度こそスマホを鞄の中に仕舞った。

   * * *

ちょうど職場の決算時期と重なり、仕事はものすごく忙しい。一日があっという間に過ぎて、気がつけばもう土曜日。今日は徹也くんと会う約束の日だ。いよいよカミングアウトするんだと思うと胃が痛い。
朝食を終え、テレビをぼんやりと観ているタイミングで母が私に話しかけた。

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