これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー
「……もしかして、僕と結婚するの、本当は嫌だった?」
徹也くんは冗談めかしているけれど、その目は笑っていない。こっちだって、聞きたいことだらけなのに。
「そんなことっ……!! 徹也くんのほうが、本当は私との結婚が嫌だったんじゃないの?」
険悪な空気になりそうなところに、武志さんが先ほど頼んだアイスコーヒーとパンケーキを運んできた。
私の紅茶は、とうの昔に冷めてしまっている。
「それを言うなら、徳井さんもでしょう? こうして晶紀以外の女性と一晩一緒だったそうですね。僕たちはその場にいないから、どうとでも言い訳できますよね? それに、その指輪。晶紀からのプレゼントじゃないものを着けてるのって、どんだけですか? 坂下さんとペアリングじゃないんですか?」
弘樹の思わぬ援護射撃に動揺したのか、徹也くんの手元が狂い、アイスコーヒーをぶち撒けてしまった。運悪くグラスが私側に傾いて、私のスカートは見る見るうちにアイスコーヒーで染みが広がっていく。
「うわっ、ごめん!!」
動揺する徹也くんをよそに、向かい側に座る二人の行動は迅速だった。
徹也くんは冗談めかしているけれど、その目は笑っていない。こっちだって、聞きたいことだらけなのに。
「そんなことっ……!! 徹也くんのほうが、本当は私との結婚が嫌だったんじゃないの?」
険悪な空気になりそうなところに、武志さんが先ほど頼んだアイスコーヒーとパンケーキを運んできた。
私の紅茶は、とうの昔に冷めてしまっている。
「それを言うなら、徳井さんもでしょう? こうして晶紀以外の女性と一晩一緒だったそうですね。僕たちはその場にいないから、どうとでも言い訳できますよね? それに、その指輪。晶紀からのプレゼントじゃないものを着けてるのって、どんだけですか? 坂下さんとペアリングじゃないんですか?」
弘樹の思わぬ援護射撃に動揺したのか、徹也くんの手元が狂い、アイスコーヒーをぶち撒けてしまった。運悪くグラスが私側に傾いて、私のスカートは見る見るうちにアイスコーヒーで染みが広がっていく。
「うわっ、ごめん!!」
動揺する徹也くんをよそに、向かい側に座る二人の行動は迅速だった。