ラスボス聖女に転生してしまいました~婚約破棄され破滅する運命なので、生き延びるため隣国で錬金術を極めます~
こうして嬉しそうな声を聞くと苦労も報われたという気持ちになるし、なにより聖女であることに誇りを持てるようになっていた。
(魔王としての力が覚醒するのはゲームのシナリオだし、同じことが起こるとは限らないかもしれないわ)
前世の記憶が戻って動揺してしまったが、私の記憶にあるシナリオは所詮ゲームの中の話。実際は違うかもしれない。
「お姉様、帰りにケーキを買っていきません? いつものお菓子屋さんで」
「ええ、いいわよ」
願わくばこのまま和やかに過ごしたい。
この愛らしい妹とともに、ずっと聖女として国のために尽くしたい。
「っ――!?」
そう願った瞬間――今度は胸に激痛が走る。
「ああああ! ううううう!」
「お、お姉様? こ、この黒いのは一体……? きゃっ!?」
ドス黒い突風のようなものが突然全身から吹き出して、なにもかもを吹き飛ばす。
これは……、闇属性の魔力? 視認できるくらい濃い強力な魔力の放出に、私は戸惑う。
「な、なんだこれは?」
「聖女様、それは一体!?」
「怖いよー、お母さ~ん!」
漆黒と呼べるほどドス黒い突風のようなものを体中から噴出している私の姿を見て、人々は恐怖に引きつった表情を見せる。
このままだと教会が壊れてしまう。否、もうすでに破損している箇所がいくつか見当たる。
「落ち着かなきゃ。この突風はおそらくは闇の魔力の暴走。ならば私の光の魔力で抑えれば……!」
冷静に私は状況を分析して答えを出す。
これでも魔術師の名門一家、エルマイヤー家の中でも随一の才能があると太鼓判を押された身だ。
厳しい修行に耐え、神託を受けることで使えるようになった光属性の魔力。これくらいの魔力の暴走、止められなくてどうする。
「止まれ! 止まれ! 止まれーー!」
私は必死で自らの光属性の魔力を使って闇属性の魔力を抑え込む。
大丈夫だ。なんとかなる。きっと私ならできる。
「止まってーーー!」
その叫びに呼応するように、ようやく魔力が吹き出すのが止まってくれた。
(厄介ね、これ。少しでも気を抜くとまた暴走してしまいそう……)
「はぁ、はぁ」
「お姉様? 大丈夫ですか? 今のは一体……」
息を切らせている私にシェリアが話しかける。
(魔王としての力が覚醒するのはゲームのシナリオだし、同じことが起こるとは限らないかもしれないわ)
前世の記憶が戻って動揺してしまったが、私の記憶にあるシナリオは所詮ゲームの中の話。実際は違うかもしれない。
「お姉様、帰りにケーキを買っていきません? いつものお菓子屋さんで」
「ええ、いいわよ」
願わくばこのまま和やかに過ごしたい。
この愛らしい妹とともに、ずっと聖女として国のために尽くしたい。
「っ――!?」
そう願った瞬間――今度は胸に激痛が走る。
「ああああ! ううううう!」
「お、お姉様? こ、この黒いのは一体……? きゃっ!?」
ドス黒い突風のようなものが突然全身から吹き出して、なにもかもを吹き飛ばす。
これは……、闇属性の魔力? 視認できるくらい濃い強力な魔力の放出に、私は戸惑う。
「な、なんだこれは?」
「聖女様、それは一体!?」
「怖いよー、お母さ~ん!」
漆黒と呼べるほどドス黒い突風のようなものを体中から噴出している私の姿を見て、人々は恐怖に引きつった表情を見せる。
このままだと教会が壊れてしまう。否、もうすでに破損している箇所がいくつか見当たる。
「落ち着かなきゃ。この突風はおそらくは闇の魔力の暴走。ならば私の光の魔力で抑えれば……!」
冷静に私は状況を分析して答えを出す。
これでも魔術師の名門一家、エルマイヤー家の中でも随一の才能があると太鼓判を押された身だ。
厳しい修行に耐え、神託を受けることで使えるようになった光属性の魔力。これくらいの魔力の暴走、止められなくてどうする。
「止まれ! 止まれ! 止まれーー!」
私は必死で自らの光属性の魔力を使って闇属性の魔力を抑え込む。
大丈夫だ。なんとかなる。きっと私ならできる。
「止まってーーー!」
その叫びに呼応するように、ようやく魔力が吹き出すのが止まってくれた。
(厄介ね、これ。少しでも気を抜くとまた暴走してしまいそう……)
「はぁ、はぁ」
「お姉様? 大丈夫ですか? 今のは一体……」
息を切らせている私にシェリアが話しかける。