ラスボス聖女に転生してしまいました~婚約破棄され破滅する運命なので、生き延びるため隣国で錬金術を極めます~
第一章「隣国の錬金公爵」
ひんやりとした石造りの床、そして鉄格子。
私は王宮の地下にある牢獄に入れられてしまった。
司教様が憲兵隊長に魔王として私がいつ目覚めるかわからないと焦りながら説明していたので、今ごろ王宮内では会議でも開かれて私の処遇について話し合いでもしているのだろう。
「手錠までかけて。これじゃ犯罪者扱いじゃない」
まったく、怖いのはわかるがこんな扱いをされるとは思わなかった。
ゲームのシナリオはシェリア視点がほとんどなので、リルアがどのようにして隣国に送られたのかほとんど描かれていなかったのである。
だからこうして体験するまでどんな扱いなのか知る由もなかった。
「ふっふっふ、まさか君が魔王の後継者だったとはね。我が婚約者、聖女リルア」
「エルドラド殿下……」
投獄されてから小一時間ほど経った頃、茶髪の癖っ毛が特徴的なこの国の第二王子、エルドラド・フェネキスが私のもとにやってきた。
聖女とは国の英雄ともいえる存在。フェネキス王家はこれまで聖女となった女性を積極的に王家の者と婚姻させていた。
私もその例外ではなく、聖女になったその日のうちに第二王子である彼と婚約することに。
もっとも彼はそれが不満だったらしい。
ロマンチストな彼は家の事情で結婚するよりも恋愛結婚したかったと、私と顔を合わせるたびに愚痴を言うようになっていった。
(なんでそんなことを言っていたのかは知っている。この方は私の妹、シェリアのことを……)
ゲームのシナリオを思い出した私はエルドラドがシェリアのことが好きなのを知っている。
ゲームではエルドラドはことあるごとにシェリアを口説くというどうしようもないキャラだった。
残念ながら、その独りよがりの想いは通じず相手にされなかったのだが……。
「リルアよ、聖女として持て囃される気分はどうだったのかな?」
「えっ? どうと言われても……どうとも返答できかねますが」
「ふんっ! 本当は調子に乗っていたくせに! 俺の目は誤魔化せんぞ!」
鋭い目つきで私を睨みつけながら大声を出すエルドラド殿下。
彼は一体、なにを言っているのだろうか。
そういえば、彼はゲームでしきりに聖女というシステムの廃止を訴えていた。シェリアが無理をしないで済む国を作りたいとも。
私は王宮の地下にある牢獄に入れられてしまった。
司教様が憲兵隊長に魔王として私がいつ目覚めるかわからないと焦りながら説明していたので、今ごろ王宮内では会議でも開かれて私の処遇について話し合いでもしているのだろう。
「手錠までかけて。これじゃ犯罪者扱いじゃない」
まったく、怖いのはわかるがこんな扱いをされるとは思わなかった。
ゲームのシナリオはシェリア視点がほとんどなので、リルアがどのようにして隣国に送られたのかほとんど描かれていなかったのである。
だからこうして体験するまでどんな扱いなのか知る由もなかった。
「ふっふっふ、まさか君が魔王の後継者だったとはね。我が婚約者、聖女リルア」
「エルドラド殿下……」
投獄されてから小一時間ほど経った頃、茶髪の癖っ毛が特徴的なこの国の第二王子、エルドラド・フェネキスが私のもとにやってきた。
聖女とは国の英雄ともいえる存在。フェネキス王家はこれまで聖女となった女性を積極的に王家の者と婚姻させていた。
私もその例外ではなく、聖女になったその日のうちに第二王子である彼と婚約することに。
もっとも彼はそれが不満だったらしい。
ロマンチストな彼は家の事情で結婚するよりも恋愛結婚したかったと、私と顔を合わせるたびに愚痴を言うようになっていった。
(なんでそんなことを言っていたのかは知っている。この方は私の妹、シェリアのことを……)
ゲームのシナリオを思い出した私はエルドラドがシェリアのことが好きなのを知っている。
ゲームではエルドラドはことあるごとにシェリアを口説くというどうしようもないキャラだった。
残念ながら、その独りよがりの想いは通じず相手にされなかったのだが……。
「リルアよ、聖女として持て囃される気分はどうだったのかな?」
「えっ? どうと言われても……どうとも返答できかねますが」
「ふんっ! 本当は調子に乗っていたくせに! 俺の目は誤魔化せんぞ!」
鋭い目つきで私を睨みつけながら大声を出すエルドラド殿下。
彼は一体、なにを言っているのだろうか。
そういえば、彼はゲームでしきりに聖女というシステムの廃止を訴えていた。シェリアが無理をしないで済む国を作りたいとも。