嘘も孤独も全部まとめて
そういえば…。


「前言ってた『因幡透』って何ですか」


「ああ…。アリサちゃん、知らないんでしょ?」


頬杖をつき、身を乗り出してきた。


「……知らない」


「知りたい?」


間髪入れずに問いかけてくる。

どこまでも挑発的だ。


「……別に」


真っ直ぐ向き合うことができなくて、顔を反らした。

ワイングラスをテーブルに置いたのが視界の端に見える。


「飲み友達…?もう七年一緒に居るけど」


七年。

その言葉に思わず安藤さんの顔を見た。

彼女はあたしを真っ直ぐ見つめ、ニッコリ笑う。
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