嘘も孤独も全部まとめて
「どうかした?」


「……何もない」


「あらそぉ。それじゃあ、せっかく料理が来たんだし冷めないうちに食べましょ」


ナイフとフォークを持ち、慣れた手付きで切り分ける。


「はい、アリサちゃんの分」


手際よくお皿に取り分け、あたしの前に並べた。


七年も一緒に居るの?


彼女なんて居ないと思っていたのに。


こんなに綺麗で何でもできる人と?


二人が並んで飲んでいる姿が頭に浮かぶ。


どこで知り合ったの?

夜帰ってこないのはこの人と一緒に居るから?


胸の中がぐちゃぐちゃに掻き回されているみたいで苦しい。
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