嘘も孤独も全部まとめて
「近い」


眉間に皺を寄せる。


そんなにあたしが嫌なのか…。


また目の奥が熱くなって視界がゆらゆら揺れだした。


「……安藤さんならいいの?」


「は?」


「あの人みたいに大人の女だったら良かった?」


「お前、何言ってんだよ」


因幡さんの顔がどんどん険しくなる。

こんなことを言っても怒らせるだけかもしれない。

だけど口からは次々言葉が溢れる。


「あの人と付き合ってるの?だから毎日こんなに遅いの?」


「付き合ってない」


「じゃあ、この前一緒に歩いてた女の人?」


言葉だけじゃなくて涙まで出てきた。
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