嘘も孤独も全部まとめて
「お前、見たのか?」


因幡さんの声のトーンが一気に下がった。


「……ご…ごめんなさい…」


大きくため息を吐かれ、背筋が寒くなる。


怒らせた…?


目の前に居るのに視線は斜め下を向いていて、何を考えているのか分からない。


「知りたいなら教えてやる。あれは結婚指輪だ。それで満足か?」


結婚……指輪…?

因幡さん…結婚してたの?


目の前が真っ暗になって倒れそうな気がした。


「え…。だって因幡さん、一人……」


どういうこと?
< 141 / 514 >

この作品をシェア

pagetop