嘘も孤独も全部まとめて
「何だ」


「あたし…下着って、着てた分しかないから脱いだら他に着るものなくなっちゃう…」


「……」


ここに初めて来た時も因幡さんのシャツを借りていた時は外に出ることがなかったから、シャツ一枚で一日を過ごした。


「新しく買えばいいだろ」


もっともな言い分だ。

だけど、あたしにはお金がない。


「……だってお金ないもん。所持金ゼロ。どうすればいい?」


ため息を吐いて立ち上がった因幡さんが、財布を手に戻ってくる。


「ん」


差し出されたカードを手に取った。

街の至るところで見かけるクレジットカードだ。
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