嘘も孤独も全部まとめて
俺は……。


杏里紗の髪に触れてみる。

高校の頃、恋愛に胸を躍らせたあの時のような感情は湧いてこない。


まあ…そりゃそうだろな…。


何だかんだいっても、杏里紗と一緒に過ごす時間はほとんどなかった。

そんな中で恋愛感情が芽生えるはずなんかなくて。


俺と一緒に居るより、やっぱり他の男と幸せになってほしい。


どうしたらいい?


あれだけ釘を刺された安藤に相談なんてできるはずもなく。


……八方塞がりか…。


杏里紗の顔を見ているとウトウトしてきた。

寝たら駄目だと思うのに、瞼が重く言うことを聞いてくれない。

そのまま再び眠りに落ちてしまった。
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