嘘も孤独も全部まとめて
明らかに悲しそうな顔をする杏里紗。

少しだけ罪悪感に(さいな)まれる。


「何で?」


「……悪い…」


「あたしのこと、嫌い?」


「…嫌いじゃない」


じわりと歪む杏里紗の表情。

重なるアイツとの姿。


頼むから、これ以上あの頃に引き戻すな…。


事情を知らない杏里紗に言っても仕方のない言葉を頭の中で叫ぶ。


「因幡さん」


「何だ」


「好き」


「は?」


思わず間抜けな声が出た。


「好きなの。因幡さんが好き」


俺の服を握り締め、何度も繰り返す。
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