嘘も孤独も全部まとめて
ここで抱き締めてやれば、杏里紗は俺が承諾したと思うだろう。

だからこそ、優しくできない。


「警察官が駄目なわけじゃない。言っただろ。杏里紗の気持ちは受け取れないって」


「うん…分かってる。でも、いいの」


「そんなの最初のうちだけだ。そのうち嫌になる」


「離婚した理由はそれ?」


核心を突かれ、言葉に詰まった。


「……まぁ…な」


「あたしは平気だよ。…色々……経験してきたから」


俺の顔に手を伸ばしてくる。

頬にそっと触れる杏里紗の指。
< 201 / 514 >

この作品をシェア

pagetop